勤怠管理とは?シフト・出勤簿との違いと記録する項目
勤怠管理とは、従業員が実際にいつ働き、いつ休んだかを確認し、出退勤・休憩・休暇などの実績を記録する業務です。シフト管理がこれからの勤務予定を決めるのに対し、勤怠管理は実際の勤務を確かめ、適切な労働時間の管理や給与計算につなげます。予定表が完成していても、実際の開始・終了や休憩を確認する作業は別に必要です。
編集:シフトエンジン。参照した公式資料と確認日は本文末尾に掲載しています。
勤怠管理・シフト管理・出勤簿は役割が違う
「シフト表に出勤日があるから、勤怠も分かる」と考えると、遅刻、早退、勤務延長、休憩の変更が記録から抜けます。例えば17時終了の予定でも、実際に片付けを含む業務が17時20分まで続けば、その実態を確認しなければなりません。予定に合わせて実績を上書きする運用は避けます。
出勤簿は日々の勤務状況を整理する記録であり、勤怠管理はその記録を確認・訂正・集計する一連の仕事です。給与計算は、確認済みの実績と賃金条件などを用いて支払額を計算する工程です。賃金台帳は労働日数や時間数、賃金額などを記載する帳簿で、単なる予定表や給与明細とは異なります。
| 名称 | 主な対象 | 具体例 |
|---|---|---|
| シフト管理 | 勤務予定・人数配置 | 来月の月曜は9~17時に配置する |
| 勤怠管理 | 実際の勤務状況と確認 | 当日の始業・終業・休憩を確認する |
| 出勤簿 | 日別の実績を整理した記録 | 勤務日、開始・終了、実働時間を一覧にする |
| 給与計算 | 賃金条件と確認済み実績 | 賃金、手当、控除などを計算する |
| 賃金台帳 | 労働者ごとの賃金・労働の記録 | 計算期間、労働日数・時間数、賃金額等を記載する |
勤怠管理で記録する項目と確認担当を決める
店舗で使う記録は、従業員を識別する番号、勤務日、始業・終業、実際の休憩、勤務状況を基本に組み立てると確認しやすくなります。同姓の従業員や複数店舗勤務がある場合は、名前だけで集計しないようにします。日またぎ勤務では終了時刻にも日付を付け、翌朝の終了時刻を同日の朝と取り違えない形にします。
休暇、欠勤、遅刻・早退などは、それぞれの状況が分かる区分で管理します。「休」という一文字だけでは、所定休日か年次有給休暇か判別できません。全員へ配るシフト表と、人事・給与担当が見る詳しい記録は閲覧範囲を分ける運用も考えましょう。個別の事情を共有表へ詳しく書く必要はありません。
打刻した本人、当日の責任者、月ごとの勤怠を確認する担当者、給与担当の役割も決めます。少人数で兼務する場合でも、「誰が実態を確認し、いつ確定したか」が分かる状態を目指します。入力者が訂正した時点と、確認が終わった時点を区別すると、未確認のデータを給与担当へ渡すのを防げます。
- 従業員番号・氏名、所属・勤務先、対象日
- 実際の始業・終業日時、実際に取得した休憩
- 出勤・欠勤・休暇等の区分と確認状況
- 訂正前後の値、理由、確認者、確認日時
打刻時刻と労働時間は、実態に照らして確認する
厚生労働省は、労働日ごとの始業・終業時刻について、使用者の現認や、タイムカード・ICカード・パソコン使用記録などの客観的な記録を基礎として確認・記録する方法を示しています。従業員へ入力を任せる場合でも、管理する側の確認が不要になるわけではありません。
打刻から打刻までの時間が、そのまますべて労働時間になるとも限りません。一方、打刻前の準備や打刻後の作業でも、使用者の指揮命令下にあると認められる時間は労働時間として扱う必要があります。着替えや片付けを名称だけで除外せず、指示や実際の作業状況を確認します。
自己申告による時間と入退場などの客観的記録に大きな差があるときは、実態を調べ、必要な補正を行うことが求められます。「予定を超えた分は入力しない」「予算以内に収まるよう申告する」という扱いでは、実態を把握できません。記録の確認と、今後の配置・業務量の見直しは分けて進めます。
この節の参照資料:厚生労働省「労働時間の適正な把握方法について教えて下さい。」
予定と実績の記録例:17時退勤予定が20分延びた場合
次は記録方法を説明する架空の例です。9時から17時まで、休憩60分の予定だった従業員が、当日の業務を17時20分に終了し、休憩は予定どおり取得したと確認できた場合を考えます。始業から終業までの8時間20分から、休憩1時間を引くと、労働時間は7時間20分です。
予定との差20分は消さずに実績へ反映します。ただし「予定より20分長い」と「法定時間外労働が20分ある」は同じ意味ではありません。適用する勤務制度や週の労働時間、規程などを踏まえた区分確認が必要です。この表は勤怠記録の例であり、割増賃金や支給額を確定する計算例ではありません。
| 項目 | 予定 | 確認済みの実績 |
|---|---|---|
| 始業 | 9:00 | 9:00 |
| 終業 | 17:00 | 17:20 |
| 休憩 | 60分 | 60分 |
| 休憩を除く時間 | 7時間 | 7時間20分 |
| 確認メモ | 当初の勤務予定 | 責任者が当日の業務延長と終了時刻を確認 |
打刻漏れ・休憩間違いは、根拠を確かめて訂正する
退勤打刻がないときに、シフトの終了時刻をそのまま補うと、勤務延長も早退も見落とします。まず本人へ当日の開始・終了や業務状況を聞き、責任者が持つ記録などと照合します。休憩を取ったか、途中に業務対応が入っていないかも確かめます。
訂正履歴は、単に数字を直すためではなく、後から問い合わせがあったときに判断の経緯を説明するためのものです。以下は店舗内で打刻を訂正する手順の例です。締め後に判明した誤りは放置せず、給与担当にも対象期間と変更箇所を連絡し、処理方法を確認してください。
訂正依頼の例
対象日:10月12日
内容:退勤の打刻漏れ
実際の終業:17時20分
理由:閉店後の片付けを終え、打刻を忘れて退店しました。
確認依頼:当日の責任者に業務終了時刻の確認をお願いします。- 本人が対象日、漏れた打刻、実際の時刻、訂正理由を申請する。
- 責任者が当日の業務や客観的な記録を確認し、不明点を本人に聞く。
- 確認した実績を入力し、訂正前後の時刻・根拠・確認者を残す。
- 本人へ結果を伝え、日別時間と月の集計に反映されたか確認する。
締め前は未確認の記録と集計区分の漏れを解消する
月末や給与の締め日には、合計時間だけでなく、日ごとの打刻漏れ、休憩、休暇区分、訂正の確認状況を見ます。予定が空欄だから欠勤、打刻がないから休み、と自動的に扱わず、事実が確かめられていない行を抽出しましょう。予定表と実績を並べる方法は、差の理由を探す助けになります。
締めの進捗は「入力済み」「本人確認待ち」「責任者確認待ち」「確定」などに分けておくと、数字が入っているだけの行を完成と見誤りにくくなります。給与担当へ渡すファイルには対象期間と確定日時を添え、訂正が出たらどの版を置き換えるかまで伝えます。同じ月の集計が複数届く状態を避け、受け取る側が確認済みの版を選べるようにします。
給与担当へ渡す前には、労働日数、労働時間数、時間外・休日・深夜など必要な区分を確認します。賃金台帳にはこれらの時間や賃金の種類ごとの額などを記載する必要があり、出勤簿の合計だけでは足りません。契約や制度により判断が分かれる事項は、給与担当や専門家へ確認して処理します。
Excelか専用システムかを選ぶ前に、一人分の一週間をこの流れで処理してみると、足りない欄が見つかります。実績を記録し、訂正を確認し、必要な区分を集計して渡せるかが基本です。アプリの選定やシフトとのデータ連携は、この業務の役割が決まってから検討すると整理しやすくなります。
参考資料・記事について
公式資料の機能説明・制度案内を参照し、手順と記入例は当サイトで作成しています。想定例・試算は実在する店舗の実績ではありません。制度やサービスの条件は変更される場合があるため、参照先の最新情報もご確認ください。
- 厚生労働省:労働時間の適正な把握方法について教えて下さい。確認日:2026年10月25日
- 厚生労働省 青森労働局:賃金の支払いは足りていますか?賃金台帳は整備されていますか?確認日:2026年10月25日
よくある質問
勤怠管理はシフト表だけでできますか?
勤務予定だけでは実際の開始・終了、休憩、勤務変更を確認できません。同じファイルを使う場合でも、予定と実績を別の欄にし、確認・訂正の経緯を追えるようにします。
勤怠管理と出勤簿の違いは何ですか?
出勤簿は日々の勤務状況を整理する記録です。勤怠管理は、実績の記録に加え、打刻漏れや訂正の確認、必要な区分の集計、給与担当への受け渡しなどを含む業務です。
打刻を忘れたら予定時間で補ってよいですか?
予定を実績と決めつけず、本人への確認や当日の記録との照合で実際の時刻を確かめます。訂正前後と理由、確認者を残しておくと後から説明しやすくなります。
シフトより長く働いた分は、すべて法定時間外ですか?
予定との差だけでは決まりません。実際の労働時間、適用する勤務制度、週の労働時間などに応じて確認します。実績の記録を残したうえで、給与計算上の区分を担当者と確認してください。
次に確認したいこと
勤務時間の計算方法を確認する
関連する解説や記入例を、ご自身の確認したい内容に合わせてご利用ください。